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スギコーヒーロースティング・杉浦優子バリスタ−ジャパンバリスタチャンピオンシップJBC2018

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今年の杉浦さんのコーヒーは、
生産国:ボリビア
農園:アグロタケシ
品種:ゲイシャ
加工法:ウォッシュド

プレゼンテーションのテーマは”苦味”について。
僕が、杉浦バリスタから感じた率直な印象は、「誠実さ」です。
杉浦バリスタは、もともと苦味が苦手で、ローストや抽出で可能な限りそのネガティブを取り除こうと努めてきたが、
実際のお客様のニーズは、強い苦味のフルボディのコーヒー。
自分の提供したい酸味の美味しいコーヒーとのギャップに現場で悩み続けた結果、
今回のテーマに行き着いたそうです。
実際、僕自身、業界の方向性と主要なニーズとのギャップについて考えることはありましたが、
単に好みの問題で、その方にあったものを用意できればいいかなと考えていました。
しかし、杉浦バリスタはそのずいぶん先の、お客様に寄り添いつつも新しいコーヒーの楽しみ方の提案を、
真摯に、誠実に考えられていて、トップバリスタの素晴らしい人間性をみた気がします。

プレゼンテーションは苦味そのものというよりかは、苦味がもたらす味覚の効果についてでした。
以前の僕の投稿でも触れたように、もともと苦味は毒物を避けるためのセンサーとして備わっており、
人間の舌にある苦味を感じるセンサーは、25種類。基本味の5つの中でも群を抜いて多い。
(塩味・酸味は2種類、甘味は1種類、うま味は3種類)
味覚関連投稿↓

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苦味のセンサーは舌の奥の方にまとまって存在しており、苦味が適量加わることで、
リッチなコクと奥行きが感じられるようになり、”酸””甘み””質感”の印象が強まることで、そのスケール感、複雑みを増します。

「ある反応を起こす最低限の量を閾値といい、2種類あります。味の場合、『何かは分からないけれど味がする』と感じる認知閾値と、次に『あっ苦い!』と入っているものが分かる検知閾値。両者の間の量であれば、苦味は苦いと感じずに、味わいが増した、深みが出たと感じられるのでしょう」

料理理科10限目「苦味の活用」より
https://www.amakaratecho.jp/ryouririka/10

焙煎を強くすることで、あえて通常はネガティブと捉えられる苦味を、上記のようにうまくコントロールすることで、
感覚的に、よりコーヒーの印象を強めるというアプローチは、浅煎りでフレーバー主体のバリスタの中、際立って感じられました。
また、アグロタケシは世界でも最高峰を誇る栽培標高の農園で、栄養をたっぷりと吸い上げたチェリー、しかもゲイシャ種という生産性の低い=単位面積あたりチェリーの栄養分の多いコーヒーは、多くの有機酸を含み、コーヒーの酸とローストによる化学変化で生まれる苦味のボリュームが大きくなります。
エスプレッソ抽出もポーターフィルターの中で挽き方を二段階、
フィルター下部7g細め、フィルター上部14g粗めにメッシュ調整することで、
フィルター内で湯をとどまらせ、苦味を抽出する手法をとっていました。
ただ、グラインダーのメッシュが、会場の東京と、スギコーヒーロースティングのある名古屋とでは、ヘルツが違うためうまく合わず、
映像で見る限りエスプレッソの抽出がうまくいっていない印象でした。ちょっとサラサラ気味。
(単純に、50Hzと60Hzじゃ20%近く回転数が変わってくるからでしょうか)

シグネチャーは女性らしくとても華やかな印象でした。

結果としては6位という順位でしたが、メッシュがあっていればと思うと残念です。
競技が終わった3日目、少し杉浦バリスタとお話できる機会があったのですが、しなやかで物静かな中にも、凛とした素敵な方でした。
しかも、競技で使われていたロットをドリップでいただき、今まで飲んだゲイシャで、もっとも美味しく感じられる、(コーヒーのポテンシャルを引き出すというより、お客様に美味しく飲んでもらいたいという想いの感じられる)杉浦さんの人柄が出ているかのような味わいでした。
エスプレッソだとより質感が出て美味しいらしいです。
プレゼンテーションの印象通り、誠実に一人一人のお客様と向き合っていらっしゃいました。
名古屋にいった際は、スギコーヒーロースティング、必ず寄らせていただきます。

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最後まで、読んでいただいてありがとうございます。
それでは、今日も良い一日をお過ごしください!

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