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今年もサザコーヒーから三名ものファイナリストが出ました。
六名の半数という驚きの結果!
しかも毎年このレベルなので非常に高いレベル感で安定感があり、間違いなく業界トップクラスのコーヒーショップです。
サザコーヒーのブースでカッピング体験をさせていただきましたが、どのバリスタも親しみやすく、何より自分の仕事に誇りを持って働いていらっしゃるのが言葉や表情から伝わってきました。

サザコーヒーのブースのカッピング(ベスト オブ パナマ)↓

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そんな中でも、本間さんはもっとも実績のある素晴らしいバリスタです。
本間さんのプレゼンテーションの率直な印象は、スマートというよりかは、とても人間臭く情熱的な方といった感じです。
たとえば、競技後、関わっていた周りの方や道のりを振り返り涙ぐんでいる姿がとても印象的でした。
そんな素敵な人間性の本間バリスタの競技を振り返っていきます。

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今年の本間さんのコーヒーは、
生産国:コロンビア
地域:ナリニョ
農園:エルナランホ
品種:カツゥーラ
加工法:ウォッシュド
と、
生産国:パナマ
エクスポーター:ナインティー・プラス(Ninety Plus)社
品種:ゲイシャ
加工法:嫌気性発酵(アナエロビック・ファーメンテーション)

という二種類のブレンドでした。
多くのバリスタがシングルオリジンを選ぶ中、本間さんはブレンドという選択をなさっていました。
その一番の理由はエスプレッソのタクタイルを出すためです。
エスプレッソのタクタイルというのは、質感(粘性・口当たり、コクの重さ)の項目で、
タクタイルの弱いエスプレッソは、サラサラで軽いため30cc程度の少量での抽出という性質上印象が弱い。
タクタイルのしっかりあるエスプレッソは、少量でもリッチで満足感が出ます。
そのため、競技においても、お客様の満足感においても、重要な要素です。

では、なぜこの二種のブレンドなのでしょうか。
まず、本間さんが提供したいコーヒーは、パナマ ナインティー・プラス ゲイシャ アナエロビックファーメンテーションでした。
しかし、独創的で素晴らしいフレーバーをもつこのコーヒーには欠点がありました。
それがタクタイルです。
タクタイルを出すには、コーヒーに含まれるオイルが非常に重要です。
エスプレッソは、コーヒーオイルとお湯が圧力をかけることで乳化した状態になります。
このオイルが増加することにより粘性が増し、コクや口当たりが増します。
また、エスプレッソに含まれるクレマは、コーヒーから出るガス(co2)で鮮度が高いほど多いですが、
粘性の高いエスプレッソの方がクレマを維持できます。(水とシチューを沸かしたとき、シチューの方がゆっくり気泡が出てくるように)
このタクタイルを左右するオイルは、
コーヒーの、栽培標高・土壌・プロセスに由来し、さらに焙煎が深まると増加します。
パナマ ナインティー・プラス ゲイシャ はアナエロビックファーメンテーションというプロセスで、コーヒーオイルに変化する有機酸が旨味成分のアミノ酸に化学変化することでタクタイルを損なっています。
そのため、タクタイルのしっかりとしたコロンビア加えることで欠点をカバーしているのです。

そのため、エスプレッソ抽出でも出したい成分がそれぞれ違うため、コーヒー豆の焙煎、エイジング、グラインドのメッシュをそれぞれ変えて、
パナマ→フレーバー
コロンビア→タクタイル
それぞれが最大になるようコントロールされていました。

ミルクビバレッジでも、ミルクと合わせると、
酸が引き立つが特徴の低温殺菌牛乳とパナマ、
甘みが引き立つ高温殺菌牛乳とコロンビアの比率を合わせたカスタムミルクを使用していました。

シグネチャーでは、「コーヒー本来の持つものを、きっかけを与えることで引き出す」ことをテーマに、
嫌気発酵した紅茶で、プロセスとの親和をはかったり、オイルをカットしたバターを使用することで、
油分は加えずとも、コクがあると錯覚させることができるという素材(コーヒー)を大切に面白いアプローチをされていました。

本間さんのプレゼンテーションの序盤で、
ブレンドするとお互いの欠点をそれぞれカバーできるのになんでブレンドしないんだろうと常々思っていたなと考えたのですが、
最後までプレゼンテーションを聞いてなるほどと思いました。
使う豆が2種類になるだけで、検証の幅は二倍ではきかず、恐ろしいほどの労力になることに気づかされました。
ここにかける労力と、それ以上の情熱と周りからのサポートが、本間さんのあの涙に繋がったんだなと……。
今回3位とうい結果でしたが、魂のこもった素晴らしいプレゼンテーションでした!
サザコーヒーへもいつか必ず伺います。

気軽にコメントください。
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最後まで、読んでいただいてありがとうございます。
それでは、今日も良い一日をお過ごしください!

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