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コーヒー豆は加工されてる製品だということはご存知でしょうか。
普段なんとなく飲んでいるコーヒーは、果実の種子部分なんです。
コーヒーチェリーと呼ばれるさくらんぼによく似た果実を焙煎する前のグリーンビーンにする工程を加工法と言います。

コーヒチェリーは、このように連なって実をつけます。
この様子が、女性が簪(かんざし)をつけている様子に似ていることから、
”珈琲”という漢字が、蘭学者の宇田川榕菴(うだがわようあん)によって、あてられました。
(珈=玉飾りの意、琲=玉飾りの紐の意)
そして、実をつけた中でも、真っ赤に完熟しているチェリーのみを手摘みで収穫し、すぐに加工に移って行きます。

この図の、コーヒー豆の部分を取り除く方法を加工法と言います。大きくわけて4つの加工法をご紹介します。

4つの加工法(プロセシング)による味わいの違い

①水洗式(washed)
②半水洗式(semi-washed)
③乾燥式(natural)
④パルプドナチュラル(pulped-natural)

加工は収穫された土地で行われます。
なので、産地のインフラ(水道・電気・流通等)や伝統などに紐付き行われているのです。
それが、テロワールと重なり、味わいの豊かな広がりを生み出しています。

①水洗式(washed)

収穫したチェリーを大型の果肉除去機で果肉とパーチメントコーヒーに分けます。
この時、パーチメントには粘質物(ミューシレージ)が、ついています。
これを取り除くために水の入ったタンクに18−36時間漬け込み酵素の働きによって、ミューシレージを発酵・分解し、洗って取り除きます。
その後、パティオと呼ばれるコンクリートの床で1−7日間乾燥され、水分値を12%ほどする。
それを麻袋につめ3ヶ月ほど、水分値を安定させるため倉庫で保管します。
そして出荷され、焙煎前にパーチメントが取り除かれます。(シルバースキンは焙煎の過程で燃えるか剥がれるかでほとんど無くなる)
多くの水源が必要で、インフラがしっかりした地域でのみできる加工法。
味わいの特徴:発酵過程でコーヒーの酸味が生まれ、鮮やかな風味になり、程よいコクのクリーンなカップに仕上がる。

②半水洗式(semi-washed)

こちらはスマトラ島で行われることが多いため、スマトラ式とも言われる。
インドネシアの9割が小規模農家です。その多くが家庭の庭先でコーヒーを加工します。
まず、収穫したチェリーを小型で手動の果肉除去機(ハンドパルパー)で果肉とパーチメントコーヒーに分けます。
この時、パーチメントには粘質物(ミューシレージ)が、ついています。
これを取り除くために水の入った大きな桶で手でゴシゴシとミューシレージを洗っていきます。
その後、庭先で水分値24%くらいまで乾燥させます。
まだ、半乾きの状態ですが、パーチメントを剥がします。(現地では”アサラン”と呼ばれる状態)
アサランを協同組合(農協的な)に出荷し、その他の農家のコーヒーと一緒に、水分値を12%ほどまで乾燥する。
それを麻袋につめ3ヶ月ほど、水分値を安定させるため倉庫で保管します。
なぜこのような一見変わった方法を取るのでしょうか。
答えは天候にあります。スマトラ島はスコールが突発的に発生する島国だからです。
(産地は大陸が多く、ちょうど乾季の真ん中で収穫があるので、雨に振られるリスクが少ない。産地の多くが2期の雨季(冬)6ヶ月と乾季(夏)6ヶ月です。乾季の終わりの雨”ブロッサムシャワー”でコーヒーは花を咲かせそこから9ヶ月で実が熟します。ちょうど乾季の真ん中ですね。)
パーチメントを剥がして、手っ取り早く乾燥させたいからなのです。
これが独特のコーヒーの風味を生み出す1つの要素でもあります。
小規模でインフラが整ってなくても、加工できる。
味わいの特徴:酸味はほとんどなく、深く、滑らかなコクが生まれる。カップのクリーンさには欠ける。

③乾燥式(natural)

こちらはとてもシンプル。
収穫したチェリーをドライフルーツにするのです。
木で組んだ棚に布を貼って作る、アフリカンベッドと呼ばれる乾燥棚で鮮やかな赤色から、赤黒くなるまで天日乾燥します。
それを、パーチメントごと果肉を取り除きグリーンビーンをさらに天日で、水分値を12%ほどまで乾燥する。
麻袋につめ3ヶ月ほど、水分値を安定させるため倉庫で保管します。
これは、インフラもほとんど必要ありません。
水源が少ないアフリカの奥地や、世界の3割以上にもなるコーヒーを大量生産するブラジルのような国での加工に向いています。
ただし、品質の安定に課題があり、他の加工だと水につけると未完熟のチェリーは水面に浮かび取り除くことができるのですが、この加工だと目視選別か、比重選別など機械を必要とします。
味わいの特徴:酸味はほとんどなく、しっかりとしたコクがあり、フルーティで野味の溢れる、予想のつかないユニークな味わいになります。

④パルプドナチュラル(pulped-natural)

1.パルプドナチュラル、似たもので2.ハニープロセスというのもあります。
ラテンアメリカなど、比較的インフラの整った場所でのみでの加工法です。
収穫したチェリーを大型の果肉除去機で果肉とパーチメントコーヒーに分けます。
この時、パーチメントには粘質物(ミューシレージ)が、ついています。
1.これを取り除かず乾燥させるパルプドナチュラル。
2.これを、ミューシレージリムーバーと呼ばれる遠心分離機で、ミューシレージを任意のパーセンテージ”残し”乾燥させるハニープロセス。
ハニープロセスはミューシレージの残存量で、ホワイトハニー、イエローハニー、レッドハニー、ブラックハニー等あります。
味わいの特徴:酸味はほとんどなく、程よく滑らかなコクがあり、フルーティで甘みの強い味わいになります。

ぜひ、加工法に注目してコーヒーを楽しんでください!
奥深いコーヒーの旅がまた始まります。

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それでは、今日も良い一日をお過ごしください!
最後まで、読んでいただいてありがとうございます!

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